□ 相続手続きとは?

相続が開始しましたら「相続手続き」を行わなければなりません。

関係者への挨拶、ご連絡などいろいろとやるべき事がありますが、気をつけていただきたいのは相続放棄限定承認手続きは相続開始から3ヶ月という期限があることです。

他にも期限がある手続きもありますが、この3ヶ月というのは時間があるように見えますが、かなり真剣に取り組まないとあっという間に期限がやってきてしまいます。

  • 特に相続人の人数が多い場合、被相続人(亡くなられた方)の戸籍がよく変更されている場合は「相続人確定」で時間が掛かります。(通常で1ヶ月程度)
  • また、相続財産の数が多い場合もすべて調べてますので、「相続財産調査」で時間が掛かります。(通常1-2ヶ月)
  • さらに相続放棄などがあれば家庭裁判所とのやり取りがありますので、ここで数週間の時間が掛かります。

最初の3ヶ月は真剣に手続きを進めてください。

「相続手続き(遺産整理)」の流れは以下のとおりです

遺言書の確認 → (ある場合)家庭裁判所で検認手続き

相続人調査 → 相続関係説明図作成 → 法定相続情報一覧図の申請

相続財産調査

遺産分割協議書の作成

相続財産の名義変更手続き

財産分割分配

相続放棄、限定承認手続きがあれば相続開始から3ヶ月、
被相続人(亡くなった方)が所得税、消費税などの納税義務者の場合、4ヶ月以内に準確定申告、
相続税の申告納付は10ヶ月の期限があります。

最後の財産分割分配までに掛かる期間は状況によりまちまちです
早くても3ヶ月程度、長ければ数年掛かる場合も。

遺言書があれば概ねスムーズに進むことが多いため、残されたご家族ためにも遺言作成をお勧めします。

□ 相続のきほん

民法で定められている「法定相続人」は配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹です。これ以外の人は法定相続人にはなれません。

内縁の妻、愛人、叔父叔母、いとこ等は法定相続人ではありません。

相続順位 血縁相続人 血縁相続人の相続分 配偶者の相続分
第一位 配偶者と子 1/2 1/2
第二位 配偶者と直系尊属 1/3 2/3
第三位 配偶者と兄弟姉妹 1/4 3/4

兄弟姉妹の場合、その父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹があるときは、父母双方を同じくする兄弟姉妹の1/2となります。

法定相続分とは、被相続人による相続分の指定が無い場合に民法の定める相続分のことです。
しかし遺言書が無い場合でも当然に法定相続分で相続財産が分けられるのではなく、遺産分割手続きが必要です。

□ 遺言書のきほん 

一般的に以下の手順で作成されます

①遺言者が公証人と証人に遺言の内容を話し、公証人がこれを筆記する。
②公証人は、記録した文章を遺言者と証人に読み聞かせる、または閲覧させ、筆記内容を確認し、遺言者と証人が署名・捺印する。
③その「証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである」旨を付記して、これに署名捺印する。

この流れが原則ですが、通常は行政書士などに依頼して行うことが多いです。

遺言書作成支援を行政書士などに依頼した場合

遺言者の要望を行政書士に伝え、それに基づき遺言書の案文を作成します(もちろん法的チェックは行われます)。

上記①が行われる前に、行政書士が遺言者(依頼人)が十分に意向をお聞きし、遺言書の下書き(案文)を作成します。
遺言者の確認を経たのち、行政書士と公証人との間で打ち合わせをし、案文を参考に公証人が遺言書を作成します。
よって、公証役場に向かう日には遺言書がほぼ出来上がっています。①がほぼ完了。

公証役場にて、②、③の手順を行い終了です。

〜公証役場への手数料〜

目的の価額 手数料(2019年8月時点)
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円超、3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算
3億円超、10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算
10億円超 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算

ただし、以下の点に注意してください。

・財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言書全体の手数料を算出します。
・遺言加算といって、全体の財産が1億円以下のときは、上記①によって算出された手数料額に、1万1000円が加算されます。
・公証人が、病院、ご自宅、老人ホーム等に赴むく場合、上記①の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と、現地までの交通費がかかります。

相続で問題、争いを避けるためにも、以下の場合は遺言書作成を是非検討してください。

○遺産相続で争いにしたくない
○相続人に手続きにかかる負担や精神的な負担を軽くしてあげたい
○遺産分配の方法や割合を指定しておきたい
○相続人同士の仲が悪い、または行方不明者がいる
○夫婦の間に子供がいない(配偶者により多く残したい)
○配偶者以外との間に子がいる(前妻または愛人との子)
○内縁の妻、息子の嫁、孫など法定相続人以外に財産を与えたい
○事業主(個人事業主)である
○相続人の人数や財産の種類、金額が多い
○配偶者(夫または妻)がすでに他界している(相続人が子のみ)
○相続人が全くいない
など

遺言書を作成することで、これらを解消できる場合が多くなります。
勿論、有効な遺言書を残すことが前提です。

「遺言」は通常「ゆいごん」と読みますが、法律家の人たちは「いごん」と読むことが多いです。読み方で大きな意味の差はないようです。
さて、遺言作成には以下のメリットがあります。

①自分の希望通りに財産を相続人へ引き渡せる

財産やその配分などを遺言書に明確に記し、生前の相続対策として遺言書を残すことにより、自分の意思通りの相続をほとんど実現させることができる。

②遺産分割協議を経ずに財産の分配が可能になる

これはかなり大きいメリットです。遺産相続では、基本的に相続人全員による遺産分割協議を行い、相続人全員の合意を経て、実際に遺産の配分が行われます。

遺産分割協議で一人でも内容に反対する相続人がいたり、音信不通で連絡が取れない相続人がいると、手続きがストップしてしまいます。
その場合でも有効な遺言書があれば相続の手続きが可能です。

主な2つの遺言方法について説明します。(秘密証書遺言もありますが、ほとんど使われません)

自筆証書遺言

  • 遺言者本人が全文・日付・氏名を自筆で書き、捺印して作成する(一部例外あり)
  • 縦書き・横書きは自由、用紙も自由
  • 相続開始後に検認手続きが必要

メリット

  • 費用が安い
  • 遺言の存在またその内容を他の人に知られない

デメリット

  • 遺言の実現が確実に行われるとは限らない(見つからないこともしばしば)
  • 遺言の方式に不備があると無効になる可能性がある
  • 遺言書を見つけた遺族は、家庭裁判所に検認の申立てが必要。検認なしに遺言執行すると、5万円以下の過料
  • 「全文自筆」というのはなかなかハードルが高い。特に高齢者にとってはかなり大変。

公正証書遺言

証人2人以上の立会いのもとで公証人が作成(公証人が出張し公証役場以外で作成も可)

メリット

  • 公証人が方式や内容の実現可能性をあらかじめ確認するため、確実に遺言を作成できる
  • 公証人が遺言者の遺言能力の有無を確認するため、後に遺言能力についての争いがなくなる
  • 家庭裁判所の検認が不要。相続発生後、速やかに手続きを進めることができ、相続人の手間や費用負担が少ない
  • 遺産分割協議が不要(遺言書に記載された通りに手続きを開始する)
  • 原本は公証人役場に保管され、万が一正本や謄本の紛失しても再発行請求が可能。改ざん・紛失のおそれがない。

デメリット

  • 公証人手数料が掛かる
  • 気軽に再作成(内容の変更)が出来ない

どちらがおすすめ?

2019年1月に「全文自筆」の条件が緩和され、自筆証書遺言の作成がやや容易になりました。
まずは手始めに自筆証書遺言を作成してみるのはいかがでしょう。遺言書の書き方の本を購入、参考にして書いてみることが第一歩です。

そこで、いろいろと疑問点が出てくると思います。特に財産目録の記述がやや専門的になっていますので。
自筆証書遺言はかなり厳格に記述しないと無効になりますので、十分に注意を払ってください。

やはり、法律的にしっかりとした遺言書を作成し、遺言の実行可能性また相続開始後のスムーズな手続きをするためにも、費用は掛かりますが、「公正証書遺言」をお勧めします。

その際は是非、行政書士を大いに利用してください。

□ 終活のきほん